2024/4/5

「遺言書」について考える~その1 自筆証書遺言とは?

1級ファイナンシャル・プランニング技能士も、宅地建物取引士も、遺言執行士も、行政書士も全てにおいて資格取得試験は、「遺言書」の勉強に時間を使います!
 
つまり、必ず何問かずつ試験に出るのです!今はそれほど「遺言書」が大事なんですね・・・
 
今回は、「自筆証書遺言」について解説をいたします!新しい法務局での保管方法も解説の中に入れていきます!!
 
自筆証書遺言」~読んで字の如し分でかく遺言のことです。
 
鉛筆はだめです!! ボールペンや万年筆で書いてください。
 
遺言者が遺言の内容を紙に全部自分で書き、日付・氏名も自分で書いて押印するだけで「遺言」となります。
 
重要ポイント~但し、遺言中、相続財産目録の部分については、(該当するページ、該当する表面裏面全部に)遺言者の著名・押印があれば、自書をしていなくてもこの遺言は無効になりません。
 
相続財産目録の例➡預金通帳のコピー、不動産登記事項証明書のコピー・・等々
 
①全文について
押印以外の遺言のすべての部分を遺言者自身が書かなければなりません。
 
但し、相続財産目録の部分については、(該当するページ、該当する表面裏面全部に遺言者の署名・押印があれば、遺言者自身が書かなくても遺言は無効にならないのは、前述のとおり。
 
日付・氏名・押印のいずれか1つでも欠けた無効となります。
 
日本文字だけではなく外国語や速記文字でも可。
 
財産目録以外の部分をワープロ等でいわゆる「印字」しただけのものは無効です。
 
*カーボン紙による複写の方法で記載して作成した遺言も有効である(最判平5・10.191477-52)とありますが、東京地裁平成9年6月24日判決のように偽造との争いが生じかねませんのっで、カーボン紙複写方式は避けた方がよろしいでしょう。
 
②日付について
日付(作成年月日)は、作成年月日が不明確なものは無効です。
 
「年月」だけで「日」がないものや、「年月」+「吉日」だけのものは無効です。
 
但し、歴日である必要はありません。
 
日付が特定できれば「満55歳の誕生日」とか「還暦の日」と記載されているものだけの遺言も有効です。
 
③氏名について
氏名については、戸籍の記載と一致する必要はなく、通称・雅号・ペンネーム等を用いても、本人の同一性が認識される程度の表示であれば足ります。
 
さらに、フルネームでなくても「名」だけで「氏」の記載がない遺言を有効とした判例があります。
 
④押印について
押印については、実印であることを要せず、認印でもよく、さらには指印でもよい。
 
また、自書をしてない相続財産目録以外の押印の場所も問いません。
 
自署の下には押印がなかったが、これを入れた封筒の封じ目に押印があれば、押印の要件にかけるところはない(最判平成6・6・24)。
 
 
次回は、自筆証書遺言のメリット・デメリットと、新たにできた法務局での保管制度(令和2年7月10日施行)を解説いたします!!
 
*参考資料=「一般社団法人日本遺言執行士協会」