2025/2/1

「遺言書」は法的効力が及ばない記載項目がある・・・

「遺言書」について、記載する内容の注意点
 
仕事柄、遺言書作成の相談を承りますが気を付けなければならない事があります!!
 
意外と勘違いされている方が多いようなので改めて「遺言書」について確認いたします。
 
遺言は、自分の財産誰にどのように残したいか、自分の意思や想いを確実に伝えるための手段です。
 
自筆証書遺言書などは、民法に定められた最低限守るべき要件を満たしていないと、せっかく作成しても無効になってしまいますので注意が必要です。
 
ご依頼者様のなかで「遺言」で{オホーツクの海に散骨して}とか{私の所有している○○山の桜の木の下に墓標を立てて}とか・・・色々とお話を伺いますが、前にも述べて通り、遺言は、自分の財産誰にどのように残したいか、自分の意思や想いを確実に伝えるための手段なのです。
 
ご自身の財産の分割を明記する事であり、{ここに散骨してください}や{ここにお墓を立てて}等々は遺言書の中の付言となります。
 
確かに付言は遺言書の重要な要素ですが、法的効力を持たないため、その内容には注意が必要です。
 
相続人の方々が必ずその通り行ってくれるという保証も拘束力もありません・・・
 
遺言書は法的に有効な遺産分割協議、相続人間での財産の分配を確定させるものですが、付言はあくまで遺言者の意図や思いを伝えるための補足的な内容です。
 
そのため、付言は法的効力が制限される部分であることを理解しておくことが重要です。
 
とは言え、付言で家族に対する感謝やお願いを伝えるためにも使うことができます。
 
遺言者が生前に感謝の気持ちを直接伝えることができなかった場合でも、付言を通じてその気持ちを遺族に伝えることが可能です。
 
例えば、法務省民事局から遺言書の記載例の説明資料がございますが、その中にも付言について以下の様な記載があります。
 
付言事項
「一郎と雪子には、これまで通り仲のいい関係を続けてくれるように願っています。」
*付言事項がある場合は遺言書本文に記載します。財産目録には記載しないよう注意が必要です。
 
という具合にメッセージを遺言書に添えることができます。
これは法的効力を持ちませんが、遺言者の思いを遺族に伝える大切なはたらきがあります。
 
 
そこで登場するのが、公正証書で作成する死後事務委任契約です!!
 
死後事務委任契約とは、受任者が亡くなった後の諸手続き(葬儀、納骨、散骨、埋葬に関する事務等の「死後事務」について受任者の生前に受任者との間で委任しておく契約のことです。
 
公正証書にて作成をした場合は法的効力を強化します。
 
死後事務委任契約によって委任する死後事務の内容は、委任者と受任者との間の契約によって定めます。
 
(例えば・・・)
 
①関係者への死亡の連絡、死亡届の提出
 
②火葬許可書の申請・受領・葬儀・火葬に関する手続き
 
③埋葬・散骨等に関する手続き
 
④病院・施設等の退院・退所手続き・清算等
 
⑤社会保険・国民健康保険・国民年金保険等の資格喪失手続き
 
⑥住居の管理・明け渡し
 
⑦車両の廃車手続き・移転登録、運転免許証の返納手続き
 
⑧遺品整理の手配
 
⑨携帯電話やパソコン等に記録・保存されている情報の抹消
 
⑩ペットの引き渡し
 
⑪住民税や固定資産税等の納税手続き
 
⑫遺産や生命保険等に関する手続き
 
等々があげられますね・・・
 
但し、遺言書の公正証書と死後事務委任契約の公正証書は1枚の公正証書にまとめることはできません・・・・
 
2枚分の公正証書作成料などがかかってしまいますが、法的効力を強化するためには必要だと考えます。
 
少しわかりにくい説明になってしまいましたが、お気軽にご相談くださいませ。
 
*参考資料=「法務省民事局・遺言書保管ガイドブック」