2024/4/15

「遺言書」について考える~その3 公正証書遺言とは、そのメリット・デメリットについて

「公正証書遺言」~遺言者が公証人の前で、証人二人の立会いのもと、遺言の内容を口授し、それに基づいて公証人が文書にまとめ「遺言」とするのが公正証書遺言です。
 
メリットは?
 
①公正証書遺言は、原本が公証役場に保管され遺言者には正本が交付されるので、遺言者が正本を紛失しても、公証役場で謄本を交付してもらうことができます。
 
②公正証書遺言は、相続開始後の家庭裁判所の検認が不要です。
 
③公正証書遺言は、公証人が関与して証人二人が立ち合い、原本を公証役場に保管するため偽造・変造が困難です。
 
デメリットは?
 
公証人に手数料を支払う必要があり、相続財産が多ければ手数料も高額になります。
 
②事前に、遺言の内容を伝えてまとめておく必要があり、本人が公証役場に出向くか、公証人の出張を依頼する手続きが煩雑です。
 
証人によって遺言の内容が漏れる可能性があります。
 
用語説明
 
「公証人」とは~公証人は、原則として、裁判官検察官あるいは弁護士として法律実務に携わった者で、公募に応じたものの中から、法務大臣が任命しています(公証人法第13条)。
 
また、多年法務事務に携わり法曹有資格者に準ずる学識経験を有する者で公募に応じ、かつ、検察官・公証人特別任用等審査会の選考を経たものについても、法務大臣が公証人に任命しています(公証人法第13条の2)。
 
公証人は、単に高度な法的知識と豊富な法律実務経験を有していることが必要であるばかりでなく、職務の性質上、一方当事者に偏ることなく、中立・公正でなければなりません。
 
この点で、一方当事者からの依頼を受けて、依頼者の代理人等として依頼者の公正な利益のために活動する弁護士や司法書士等とは異なっています。
 
公証人は、国の公務である公証作用を担う実質的な公務員ですが、国から給与や補助金など一切の金銭的給付を受けず、国が定めた手数料収入によって事務を運営しており、手数料制の公務員とも言われています。
 
公証人の手数料はいくら?
 
 目的の価額  手数料
 100万円まで  5.000円
 200万円まで  7.000円
 500万円まで  11.000円
 1.000万円まで  17.000円
 3.000万円まで  23.000円
 5.000万円まで  29.000円
 1億円まで  43.000円
 
◆これを超えるときは、超過金5.000万円までごとに、次の金額が加算されます。
3億円まで・・・・13.000円
10億円まで・・・・11.000円
10億円を超えるもの・・・・8.000円
 
遺言手数料の場合、目的の価額は、相続人または、受遺者1人ごとに計算され、合計価額が1億円までは11.000円加算された金額になります。
 
計算の例~目的価額の合計が9.500万円の場合で、妻に5.500万円、子(1名)に4.000万円を相続させるときの計算は・・・・
 
妻の手数料は43.000円
子の手数料は29.000円
合計額が72.000円となりますが、以上の72.000円に11.000円を加算した83.000円が手数料の額となります。
 
ほかに用紙代等の費用が多少必要です。
 
公証人が病院や自宅に出張し病床で作成した場合は、上記の金額の5割増しになり、はかに、日当1万円(4時間以内の場合)交通費が必要になります。
 
 
 
次回は、秘密証書遺言についての説明と、メリット・デメリットの解説をいたします!!
 
 
*参考資料=「一般社団法人日本遺言執行士協会」